2008年7月17日木曜日

アルモドバル

■スペインの映画監督ペドロ・アルモドバルはこのほど本格的なブログを始めた。二週間に一回ぐらいのペースで更新されている。一回ごとの分量はかなりのもので、小見出しがいくつも並び、さまざまなテーマでエッセイ風に書きつづっている。写真も随所に折り込まれ、ビジュアル的にも楽しい。

アルモドバルは、「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トゥ・ハー」や「ボルベール(帰郷)」などの作品で多くの世界的な賞に輝き、自ら手がけた脚本でもフランスやアメリカで話題をさらってきた。文章をつづることにかけては、若い頃の小説『パティ・ディプーサ』以来、独特の才能を発揮してきたアルモドバルである。今回のブログでも、その文章の軽快なリズムとみずみずしい感覚は申し分なく健在である。

ところで三月に開始されたブログの冒頭には、次回作の脚本の草稿が昨年の十月にできあがり、目下六回目の手直しにかかっている、とある。そしてメキシコやモロッコへ出かけた折りの、ホテルのテラスとおぼしき場所で、頬杖をついて原稿に手を入れているアルモドバルのスナップ写真が添えられている。

また旅先でさまざまな小物を買い集めるのが趣味、と語ったエッセイでは、だいぶ以前、カリブの島で見つけた、目の形をした風変わりな装身具が、今回の映画で使えるかもしれないとふと思い、それをイヤリングに作りかえて、ペネロペ・クルスにつけてみたら、その魔よけ的な霊力が俄然【がぜん】伝わってきたという。

「ボルベール」に続いてペネロペ・クルスが主演を演じる新作映画で、アルモドバルは彼女のなかに棲むさまざまな女性をまたひとり見つけ出すつもりだと意気込んでいる。最新のブログでは、たしかに大きく変貌を遂げた銀髪のペネロペの写真が写し出されていた。

撮影会開始は間近いようで、このブログはその間もずっと続く見込みだ。ブログはスペイン語のほかに、英語やフランス語のバージョンも同時にアップされている。